レカロに座って、思い出した。

フルバケの場合、着座の際には、
ぢべたに座るときと同程度の注意を払う必要がある。
ってか、座るっちゅうより、座面に腰を収めるって感じ。

フルバケの感覚が体に染み付いてるので、
レカロになっても、まだそぉ〜っと座ってしまうのだが、
なんちゅうか、ぷわん、と受け止められる感じが何かに似ている。

そう、人生に一度きりの「お姫さまだっこ」の、
ふっと重力が抜ける瞬間の、あの感じに似ている!

それを体験したのは、10数年前の鈴鹿サーキット。
しかも、全日本ツーリングカー選手権開催中の。

当時は、BMW・M3がワークス体制で参加してて、
(もち、チーム・シュニッツァーだぜ!)
なんだかんだで、
そのドライバーズシートに座ってもいいよ〜ってことになったのよさ。
ピットで整備中だったもんで、ウマでもちあげられたM3に、
よっこらしょと乗り込んだわけ。
今おもへば、初フルバケ体験でもあったのだな。(感慨深)

でもって、おお〜スゲ〜スゲ〜スゲ〜(^▽^:)としばし浮かれた後、
降りる段になって、「はた」と動きが止まった。

フルバケにすっぽりハマってたので、
えいっと腰を浮かせたまではよかったが、
このままではどうやっても地面に足が届かない・・・(汗)
「ええいままよ!」と飛び降りようとした時、
ふいに重力が消えた。
はい。がっちりした外人さんにお姫様だっこされちゃってました。

「さんちゅ」と言いかけてふと気が付くと、
ワタシを抱っこしてるのは、ワークスドライバーの
フォン・バイエルン殿下であった。
うやうやしく地上に降ろしていただいた後、
「ダンケシェン」とお礼を申し上げたのは言うまでもございません。

この方は、そのお名前が示すとおり、
バイエルン王家の末裔でいらっしゃいます。
ご先祖様はヴィスコンティ監督の映画でご存知の方も多いかと思われる、
ルートヴィヒ2世であらっしゃります。
当然ながら、現在バイエルン王国は存在しておらず、
王家とはいっても、敬称が残っているのみなのですが、
やはりお住まいはロマンチック街道の名所、
ノイシュバンシュタイン城の近くのお城だそうで。
ご本人の言葉を借りますと、
「先祖はバハリア(バイエルン王国の旧名)の狂王と呼ばれていましたが、
ワタクシはバハリアの狂王子と呼ばれております」とか。

ちなみにBMWの「B」は、バハリアの「B」なんだそうでございます。

そんなわけで、ワタシは由緒正しき王子様(渋めでしたが)に、
お姫様だっこをされてしまったのであります。(照)

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