ウルトラマンメビウス・第23話「時の海鳴り」
何だろう。この既視感は。
ワタシは今、曖昧模糊とした、
不思議な懐かしさを覚えている。

何もかもがごった煮になった「少女の頃の記憶」の中から、
幾つもの断片が輝きを取り戻しながら浮き上がってくる。

幼さゆえに見つけられなかった答え。
初めて意識した大人の異性。
失われた風景。
そして忘れていた宝物。

大人の女なら、誰もが甘酸っぱい感傷に浸らずにはいられない、
そんな話だった。

ニュータウンを行きかう人々が、突如として消え去るという事件が発生。
その直前、なぜか海鳴りの音が聞こえたという。
警察は特別な聴覚を持つ、GUYS JAPANのマリナに捜査への協力を依頼する。

怪獣が現れないので暇してるGUYSの面々だが、
時間の潰し方にもそれぞれのキャラが垣間見えてオモロイ。

リュウとジョージはプロレスごっこ。(オメ〜ラまぢ体育会系だな)
テッペイは何かの実験してるっぽい。
コノミはDVDのアニメかなんか見てた?
ミライはお片づけの手伝いしてたぽい。

刑事さんがゲートまで迎えに来たそうなので、
普段の彼女からは想像も付かない、可愛いらしい私服でお出かけするマリナ。
彼女を待っていたのは、桐李(とうり)と名乗る、
えらいスマートでカッコイイ刑事さん。
しかも、握手代わりに手品で白いバラを出す、という、
えらいベタな掴みをカマしてきた。
が、あっさりスベって、早回しで照れ隠ししてるよ。(^m^)

しかし、実はこれが深〜い伏線なんだよなあ。
大浦龍宇一が演じている時点で、タダ者ではないのは確定なんだけどね。

トウリさんは実は大の甘党で、生クリームたっぷりのクレープをがっついている。
(しかも二人前)
その袖口には、奇妙な紋章が刻まれたカフスボタンが・・・
そして彼は、幼い頃のマリナの記憶に興味があるようだ。

足元に落ちてきた紙飛行機がきっかけとなって、
マリナは大好きだった祖父のことを語り始める。
(これがまたぢつに渋カッコええじいちゃんやねん)
「耳を澄ませて、風の流れを読め」と教え、
ビンテージものと思われるドゥカティに乗ってたじいちゃん。
マリナの才能と特殊能力は、このじいちゃん譲りだったんだ!

7年前の夏、祖父が死んだ日の記憶が曖昧だというマリナ。
マリナの外出後、入れ違いににフェニックスネストにやって来た弟が言うには、
「姉ちゃんとにかく最強」だそうで。(^^;)
祖父が死んだ夜、マリナは深夜にこっそり布団を抜け出してどこかへ行ったらしい。
しかしマリナはそれを否定した。
「私はどこにも行っていない。白い孔雀の夢を見ていた」と。

マリナは突然海鳴りの音を聞く。
そしてトウリとマリナは、7年前の世界へとタイムスリップする。
巨大な月が輝く夜空の下、自らの正体を明かすトウリ。
彼は故郷の星を「怪獣クロノーム」に滅ぼされ、地球へ逃れてきたアンヘル星人の、
ただ一人の生き残りだという。

ウルトラマンはカレーがお気に入りだが、アンヘル星人は甘いものに目が無いらしい。
なにげに地球とは、宇宙人がハマる「ウマ〜な名物」が豊富な惑星なのである。

過去の世界に閉じ込められた人々を探すうちに、
マリナは懐かしい祖父の家に辿りつく。
そこから駆け出してきたのは、7年前の、まだ少女だった頃のマリナ。

一方、時の継ぎ目を見つけたミライは(目がびかっと光るとこがらしくてイイ!)、
マリナを追って過去世界へ向かい、アンヘル星人を見つける。

ここで宇宙人同士が会った瞬間に相手の素性を見抜くのだが、
こいつらいつから知り合いなんだ?というのは誤解で、
実は彼らはおそらくテレパシーによって、瞬時に互いを認識しあえるのだと思う。
しかし見てる側はナンノコッチャワカランので、必要最小限の範囲で、
地球語に翻訳してアフレコしてくれてるんだと脳内補完することをお勧めする。
ウルトラ一族同士もそうやって固体認識しているので、
必ずしも個人名を必要としていないのだと思われる。

トウリはクロノームの標的が、アンヘル星人の生き残りである自分ではなく、
特殊な聴力を持つマリナであることに気付く。
7年前のマリナを消せば、クロノームにとって脅威となった現在のマリナを消せる!

そう。トウリとマリナは、7年前の時空で出会っていた。

祖父の死を受け入れることが出来ず、人前で泣くことも出来ないマリナは、
かつて祖父と遊んだ原っぱで紙飛行機を飛ばし続けていた。
しかし幾ら飛ばしても、その先に立っていたはずの祖父には会えない。
原っぱの草を覆い尽くす無数の紙飛行機が、マリナの悲しみの深さを物語る。

そこに音も無く現れた青年。それがトウリだった。
彼は手品で白いバラを出して、マリナに差し出した。

「君は置いて行かれたんじゃない。今はいっぱい泣いていいんだよ。」

マリナの記憶が甦る。
夢の中の白い孔雀、それはアンヘル星人・トウリの真の姿だった。

「いけない!トウリが撃たれる!」

7年前の時空に出現した怪獣クロノームが、少女マリナとトウリを襲う。
駆けつけたマリナが見たのは、トウリの腕の中で気絶している少女マリナ。
その腕にできた擦り傷に紋章の入ったハンカチを巻いて手当てするトウリ。

「よかった!間に合った!」

そう言って反撃に転じるマリナ。
ミライもメビウスとなってクロノームに立ち向かうが、苦戦している。

思わず「くそっ!」って言ってるし。(^^;)

しかし草の中に落ちていたトウリのカフスボタンに気を取られた瞬間、
クロノームが、今度は現在のマリナに狙いを定めた。
そしてアンヘル星人に戻ったトウリが、その白い翼を拡げて空を舞い、
クロノームの放った光弾をその身に浴びる。
(TдT)アウッ。

元がウミウシだけに、紫の汁の気体バージョンみたいな煙幕を吐くクロノーム。
(だから海鳴りなのか!)
サドラ的攻撃の連打に、メビウスのカラータイマーが点滅し始める。
しかしマリナの聴力は、煙幕の中のクロノームと、その感覚器官の位置を探り当てる。

意識を取り戻した少女マリナ。
気絶する前に見た白い孔雀は何だったのだろう?
どうしてトウリは苦しそうに地面に横たわっているのだろう?

「大丈夫、これは夢だから。君は強い人になる。僕は知ってる」

トウリの飛ばした紙飛行機を追いながら、弟たちの眠る家へと戻る少女マリナ。
入れ替わるように駆け寄る現在のマリナ。
その目の前で、細かな光点となって消えていくトウリ。
こうしてトウリは、過去と現在の二人のマリナを救った。

メビウスがクロノームを倒すと同時に、時の継ぎ目が消え、マリナとミライ、
そして生存者達が現代へと戻ってくる。

7年前、おそらくクロノームはアンヘル星人を追っていた。
トウリはその場に居合わせた少女マリナに、「これはただの夢」と暗示をかけた。
7年後、再びクロノームの気配を感じたトウリは、あの時の少女のことを思い出して、
もう一度会いたくなったのだろうと思う。
よもや、クロノームの狙いが彼女であるとは微塵も知らずに・・・

過去の時空では、タイムスリップして来た人々は透明になっているらしい。
というか、現在と過去の人々は互いに干渉することはないのだ。

例外は、真のタイムトラベラーであるトウリだ。

彼はどの時空においても、自身が唯一の実体として存在できるのだ。
だから少女マリナ(および過去の時空の住人)にとっては、
現在のマリナも、ミライも、クロノームも、メビウスも存在しないのだ。
つまりあらゆる過去は平行世界=パラレルワールドなのであるが、
クロノームは、人の記憶と時間を混乱させることによって時空の歪みを作り出し、
存在を悟られないまま、過去に干渉することができるらしい。
つまりアンヘル星人とクロノームは異なる種類のタイムトラベラーであり、
それ故に両者の間に抗争が生じたのだろう。

しかし7年前はクロノームから逃れたトウリだったが、
再び訪れた過去の時空で実体が消えてしまったのだから、当然、
現在のトウリも消えてしまったことになる。

弟が持ってきた荷物の中に、古いお菓子の缶があった。
蓋をあけると、そこには紋章の入った白いハンカチが・・・

誰にでも、感傷に満ちた幼い日の不思議な出来事の記憶があるはずだ。
時に、それは初めて性的に意識した異性であったりもする。
もしかしたら、それは地球にやってきたアンヘル星人の仕業かもしれない。

アンヘル(ラテン語で天使)星人は、その名の示す通り、中性体であると思われる。
彼らは出会った相手に合わせて性別を変え、人に夢の暗示を与える。
あたかも、クスブスとインキュブスのように。

「追記」

アンヘル星人の紋章って、古代中国の甲骨文字の「鳥」じゃないのか?
ってことは、翼があるから「ト・リ」だったりするのか?
\(-_-;)ヲイ・・・

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